患者さんからのメッセージ
腹膜透析の情報誌「スマイル」
患者さんの生活ぶりなどを動画でご紹介します。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
当ビデオは、患者さんの主観に基づく内容・患者さん個人の経験によるもので、全ての方に該当するものではありません。
治療については、主治医にご相談いただきますようお願いいたします。
ビデオメッセージ
全身のだるさやかゆみに悩まされ、APDを開始
生まれつき、腎臓が一つしかないという津田徳夫さん(75歳)。津田さんがその事実を知ったのは、30代後半の頃。検診で尿潜血が指摘され、病院でレントゲン撮影をしたところ、左右に2つあるはずの腎臓が片方しか写っていなかったのでした。
その後、70歳くらいまでは、とくに気になる臨床症状はなかったそうですが、40代から患っている高血圧などの持病の影響もあったのでしょう。5年ほど前からは現在の担当医である西村先生のもとで腎臓の治療を開始。2011年の8月に腹膜透析(PD)導入となりました。
腹膜透析を勧められたとき、津田さんのなかでは、不安よりも期待する気持ちのほうが強かったと言います。「腹膜透析を始める前はとにかくだるくて、身体が動かなかったんです。玄関で靴を履くのもひと苦労でした。さらに辛かったのが病気の影響で起こる全身のかゆみ。1箇所かゆくなると、あっちもこっちもかゆくなって、夜、なかなか眠れないことも。我慢できずにかいた跡が赤く腫れたり、かさぶたになったりしていました」と津田さん。「この辛い症状が、よくなるなら…」と腹膜透析を始めることにしました。
その際、先生の提案もあり、津田さんは夜間に器械を使って行う腹膜透析(APD)を選択。「一番の理由は、2~3日に1回、病院へ通うよりも、自宅で寝ている間にできるAPDのほうが日中、自由に過ごせるから」。また、血液透析(HD)よりも身体への負担が少ないと思った点も決め手のひとつだったそうです。
APDに関する不安や疑問は、訪問看護で解消
もちろん、津田さんにAPDに対する不安がなかったわけではありません。「教えてもらったとおり、正しい手順でできるだろうか」、「カテーテルを入れたあとのお腹の傷口が開いたらどうしよう」、「地震で停電したときはどうすれば…」など、心配することもたくさんあったと言います。その不安を解消してくれたのが週1回、自宅に通ってくれる看護師さんの存在でした。
津田さんは、毎週月曜日の午後に約1時間、訪問看護を利用なさっています。「APDのことや身体のこと、悩んでいることなど何でも相談できるし、家でできる体操も紹介してくれるんですよ」。いろいろなアドバイスをもらえるので、津田さんも一緒に暮らす奥様も、とても頼りにしているそう。「腹膜透析に対して少しでも不安がある人は、訪問看護を利用することをお勧めしますね。ただ世間話をするだけでも、気分が晴れて、ストレス解消にもなっています」。
体調も少しずつ回復。これからに期待
津田さんがAPDを始めて約4ヵ月。器械の操作にもなれてきて、体調にも変化が。辛かったかゆみも治まって、以前よりもよく眠れるようになったと言います。
写真:津田さんご夫婦(前列)と、(後列左から)二宮看護師、茎田奈央子先生、西村誠明先生、鈴木看護師
また、透析前より体のだるさもなくなったそうで、今後は、なるべく歩く時間を作りたいと思っているとのこと。「暖かくなったら、近所を散歩したり、今はバスで通っている整形外科へも歩いて通ったり、以前のように、歩くことを習慣にしたいです」とおっしゃっていました。
さらに、考え方も少しずつ前向きに変わってきているそうです。「APDを続けて、もっとよくなるぞ!という気持ちが強くなりました」とのこと。「これからもっと体調がよくなったら、一番やりたいことは?」の質問には、「庭いじりをしたいね」と答えてくださいました。仕事を退職されてから腎臓を悪くするまでは、自分で川から拾ってきた石を並べたり、花や木を植えたりして、庭をつくることが趣味だったという津田さん。もっと身体が動くようになったら、また、庭をきれいにしたいと思っていらっしゃるそうです。
ドクターからのメッセージ
愛媛県立中央病院 腎臓内科 主任部長
西村 誠明 先生
透析治療によってかゆみなどの辛い症状がなくなり、表情も明るくなってきていますね。これからは「6グラムを目標に塩分を控えること」、「なるべく体を動かすこと」を心がければよいと思います。腹膜透析(PD)は時間や食事など生活の制限が少なく、クオリティーの高い生活が送れるのが利点。PDでできた自由な時間を、奥さんと2人で十分に楽しんでください。