患者の達人

腹膜透析の情報誌「スマイル」

2021年スマイル冬号 腹膜透析(PD)と共に自分らしく暮らす患者さんをご紹介します。

記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
PDの処方は医師の判断に基づき行われます。また、「患者の達人」の記事には患者さん個人の感想・意見が含まれており、全ての方に該当するものではありません。

2021年スマイル冬号 患者の達人

人生後悔しないように その日その日を楽しもう

救急医療も担う霧島市の病院に内科医として勤務する前田栄樹さんの趣味は、小学生のときに始めた魚釣り。腹膜透析(PD)開始後も、船中泊できる大型遊漁船にAPDの機械を持ち込み大物釣りを楽しみました。釣り糸を結ぶ速さは漁師並みと笑う前田さんのPDライフをご紹介します。

前田 栄樹さん(68歳) PD歴:1年5ヵ月 かかりつけの医療機関:川原腎・泌尿器科クリニック

スタッフの皆さんと。前列左から、奥様、前田さん、松本秀一朗先生 後列は看護師の益満美香さん

糖尿病合併症で腎機能が低下

50歳ごろから糖尿病を患っていたものの治療はしていなかった前田さん。62歳のときに糖尿病の合併症で動脈が閉塞して200mを歩くのがやっとという状態になり、両側総腸骨動脈にステントを挿入する手術を受けました。これを機に糖尿病の薬物治療を始めましたが、その後も眼や腎臓、血管などの合併症が徐々に進行していきました。

写真:スタッフの皆さんと。
前列左から、奥様、前田さん、松本秀一朗先生
後列は看護師の益満美香さん

67歳になった昨年、血液検査の結果から透析の導入が必要と自ら判断し、血液透析(HD)の準備をするために腎不全外科を受診しました。そこで先生から勧められたのがPDでした。医師として30年前のPDの知識があった前田さんは、「PDは腹膜炎になりやすく長生きできないというイメージが浮かびましたが、当時と比べて透析液や機械は改良されている現状を知り、動脈疾患の持病でシャントを作製しても詰まる可能性を考え、先生が勧めてくれたPDを導入することにしました。通院回数が少なくて済み、仕事が続けやすい点もPDを選んだ理由の1つです」と話します。決意した直後の3月にカテーテル留置術を受け、治療を開始。現在は夜間に自動的に透析液を交換するAPDを行っています。「透析中に気分が悪くなることもなく、導入前に悩まされていたこむら返りで足がつることやむくみもなくなりました。毒素が抜けるせいか、以前は尿毒症による独特の体臭があり特に枕の臭いがきつかったらしいのですが、それがなくなったと妻からも好評です。もちろん個人差はあると思いますけれど」と笑います。

コロナが落ち着いたら孫娘や仲間と魚釣りに行きたい

PD導入後は夜間の当直勤務から外れ、月・水・金の週3日勤務に変更した前田さん。「治療と仕事の両立は問題ないですね。妻がPDの準備や後片付けを担当してくれ、段取り良くスムーズに治療が行えています。仕事がない日は庭の草花の手入れをはじめ、プランターでピーマンやナスを育てています。他にもトマト、キュウリ、ゴーヤなども植えています。朝収穫した野菜がすぐに食べられるのは嬉しいですね。ただ、新型コロナウイルス感染症の蔓延で外出できないため、暇を持て余しています」と話します。

前田さんには、糖尿病黄斑浮腫で眼に注射をする治療、腰椎や白内障の手術の経験だけでなく、解離性大動脈瘤の既往もありますが、持病を気遣い、塩分・水分管理を徹底している奥様のおかげで、体調は良好とのこと。「さまざまな病気を経験するたび、闘病記を記してきたのですが、第5弾となったPD導入時の闘病記には『消えるべき火を、消さずに灯し続けるために』とタイトルを付けました。火を灯し続けるためにPDを続けながら、人生後悔しないようにその日その日を楽しもうと考えています。PD導入後3カ月目には釣りを再開し、釣りが大好きな中学生の孫娘や主治医の先生、透析スタッフの皆さんとも時季の魚を釣って楽しんでいます。今はコロナで控えていますが、落ち着いたら一緒に船に乗って海釣りがしたいですね」と話します。

最後に前田さんは「PDは在宅で行う治療ですが、思ったほど難しくなくできると感じています。HDを受けている患者さんで通院が大変になってきた人は、PDに変更するのも1つの方法ではないかと思いますね」と、医師とPD患者の両方の目線で提案してくださいました。

ドクターからのメッセージ

川原腎・泌尿器科クリニック
松本 秀一朗 先生

当初、HD導入が予定され、内シャント造設依頼での紹介でしたが、撓骨動脈には高度の石灰化狭窄があり、人工血管内シャント造設術が必要と判断し、それに伴う弊害(認知症・感染・心負荷など)について説明しました。また、最新のPD医療についても情報提供した結果、PDを行うことになりました。ワインのソムリエのように、患者さんのライフプランや身体特性に合った腎代替療法を提案することが重要です。病院勤務医として働きながら鹿児島の豊かな大海原で魚釣りを満喫するには、腎代替療法としてPDは最適です。私も前田先生を大物釣りの師匠と仰ぎ、海釣りを満喫しています。

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