なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2022年
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排液が思うように出なくなり、おなかのカテーテルが上を向いていると言われました。なぜカテーテルが上を向くのでしょうか?また、カテーテルの跳ね上がりを治すには、どのような方法がありますか。
(63歳 男性 PD歴2年)
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排液不良を伴うカテーテル先端の位置異常は、精神的にも体調的にもおつらいことと思います。カテーテルの位置異常は、おなかに透析液を貯留した状態で歩行や階段の上り下りなど体を縦にして日常生活を送ることで、大半が数日以内に戻ると思います。それまでは、先端の位置が下になる体の向きで排液をする必要があります。
原因としては便秘がよく知られています。おなかの中ではカテーテルの周囲に腸がある状態で、便秘時は便をたくさん含んだ大腸が下腹部を占拠するため、カテーテルの位置に影響すると考えられます。また、PDカテーテルは皮下脂肪から腹直筋を経て、腹膜に沿ってできるだけ寝た状態で腹膜を貫くように設置されていますが、その角度が変化するとカテーテルの位置異常を来しやすいと考えられています。
排液不良がなければ経過観察で様子を見る場合が多いですが、排液不良があると透析不足になるため、カテーテル内部に特殊なワイヤを入れたり、手術での修復が必要になるケースもあります。
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弘前大学医学部附属病院
腎臓内科・講師 藤田 雄 先生