なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2021年
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PD歴が長くなり、今後血液透析(HD)に移行するタイミングが来ると考えていますが、現時点で注意することはありますか?
(65歳 女性 PD歴10年)
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透析液による刺激や感染をはじめとしたさまざまな炎症により、腹膜は徐々に傷んでいきます。そのため、これまで以上に腹膜炎に罹らないよう注意して過ごしましょう。しかし、腹膜機能が低下して水や老廃物を十分に体から取り除けなくなってきたならば、HDの力を借りることをお勧めします。PD歴が10年ですので、腹膜を大切に過ごされ、腹膜機能の低下も緩徐であったと思います。しかし腹膜機能の低下がゆっくりだからこそ、透析不足に慣れてしまっている可能性もあります。まずは主治医と適切なHDの併用時期や移行時期について相談し、計画を立てましょう。HDにはシャントが不可欠です。動脈硬化が進まないよう血圧や脂質、骨ミネラル代謝の管理を継続しましょう。動脈とつなぐ静脈も大切です。どちらの手にシャントをつくるかを相談して決めておき、採血などで血管を傷めないよう配慮していきましょう。
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福井県済生会病院
内科医長/血液浄化療法センター長
上川 康貴 先生