なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2021年
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PDからHDへ移行する予定です。HDに変更した後、おなかのカテーテルはどうなるのでしょうか?
(59歳 男性 PD歴6年4ヵ月 HD併用2ヵ月)
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PDからHDへ移行する場合に気を付けることは、被囊性腹膜硬化症(EPS)です。PD歴が長くなるとEPSの危険が高まります。EPSはPDカテーテルを抜いた後におなかの中に腹水がたまり、炎症が続くことで腸管が繭で覆ったように固まってしまいます。非常に重篤な合併症なので予防する必要があります。そのため、HDへの移行期にはPD透析液での腹腔洗浄をしてもらいます。具体的には1日1回をめどに、透析液を入れてすぐに排液します。特に、洗浄前におなかにたまっていた排液の量(前腹水)が100mL以上ある場合、腹腔洗浄が必要となります。一般に、週に1〜3回の洗浄を1年程度継続してもらいます。様子を見ながら前腹水が100mL以下になれば、中止してもよいかもしれません。この状況に至った段階でPDカテーテルを抜去できると考えられます。腹腔洗浄の頻度や期間などについては、主治医の先生とご相談ください。
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奈良県立医科大学附属病院
腎臓内科 講師 江里口 雅裕 先生