なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2020年
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1日に3~4回ほど排便があり、お腹もすいていないのにお腹がゴロゴロと鳴ります。また、2回ほど直腸脱のような状態にもなりました。これらはお腹に透析液を入れていることが影響しているのでしょうか?日中は透析液を1,200ccお腹に入れています。
(64歳 女性 PD歴5年5ヵ月)
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腸の蠕動亢進と排便回数の増加については、内服している緩下剤、高リン血症治療薬などをはじめとした薬剤の影響が考えられます。主治医の先生と調剤薬局に相談されることをお勧めします。直腸脱については、加齢と腹圧の増加により発症し、悪化します。骨盤臓器脱(膀胱、子宮、直腸が腟や肛門から突出した状態)も同様です。特に妊娠回数が多い女性で直腸脱や骨盤臓器脱は起こりやすく、高度な場合は手術の適応になります。PDは腹腔内に透析液を貯留するため腹圧が上昇します。頻回に直腸脱が出現する場合は根治手術を行うか、腹圧上昇を避ける目的で夜間に機械を使って自動的に透析液を交換するAPD治療が勧められます。
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医療法人聖比留会 厚南セントヒル病院
院長 内山 浩一 先生