なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2019年
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透析を始める10年前に心筋梗塞を患いました。以前は別々の病気だと考えていましたが、今では心筋梗塞も腎不全も関連があるのではないかと思っています。心臓と腎臓をそれぞれ別の担当医に診てもらっていますが、処方される薬などが、影響し合うことなどないのでしょうか?
(66歳 男性 PD歴8年5ヵ月)
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心臓病と腎臓病は密接に関連しています。高血圧や高リン血症が継続すると、動脈硬化が進展して心筋梗塞の危険性が高まり、さらには心不全を発症しやすくなります。したがって、腎不全をしっかり管理することは心臓病の予防にもつながります。一方、心臓病の観点から処方される降圧薬には、HD中に過度の降圧を来しやすいものがあります。また、血をサラサラにする抗血栓薬や抗凝固薬の一部は出血の危険性が高くなるため、透析患者さんには処方できません。
透析患者さんによく使われる活性型ビタミンD製剤や炭酸カルシウム製剤の副作用には高カルシウム血症があります。動脈硬化の危険性が高まるので、薬が重複しないよう注意も必要です。薬を受け取る際に薬局で確認してもらうとともに、薬の変更があった場合は医療スタッフに知らせるようにしましょう。
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黒部市民病院
腎センター所長 吉本 敬一 先生