なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2019年
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APDで治療を行っていますが、初回排液時にときどき腹部に不快感があります。何か対策法はあるでしょうか?
(76歳 男性 PD歴2年)
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PD用カテーテルの理想的な先端位置は、腹腔内の最も深い位置のダグラス窩(女性では直腸子宮窩、男性では膀胱直腸窩)です。この位置にカテーテルの先端があると、透析液をしっかりと排液することができ、透析液が腹腔内に残りにくいためです。しかし、透析液をしっかり吸い上げることになるので、最後に腹膜が刺激され、特に肛門付近に痛みを感じる場合があります。ダグラス窩以外でも、カテーテル先端部付近が痛くなることがあります。対応としては、APDの中間排液の際に、ある程度の量を腹腔内に残す「タイダール法」を用い、残す量を調節することで、痛みが軽減・解消されることが多いです。また、先端位置の異常が原因と考えられる場合には、便秘の改善や体を動かすことを心がけるほか、ガイドワイヤーや手術による修復で治療します。
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黒部市民病院
腎センター所長 吉本 敬一 先生