なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2019年
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腹膜透析(PD)を始めてから体の乾燥を強く感じるようになりました。首から手足の付け根までの身体の真ん中に強い痒みがあり、塗り薬やワセリンを塗るとほてりを感じてさらに痒くなってしまい効果がありません。何か良い方法はありませんか?リン値は正常範囲内です。
(42歳 女性 PD歴3年10ヵ月)
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PD、血液透析(HD)のいずれの患者さんも痒みを感じることが非常に多く、さまざまな原因が考えられています。透析効率が低い場合はPDの治療方法を変更して効率を上げることを試みるほか、HDの併用や移行も考慮します。生活面では、入浴時に熱い湯船に長く浸かることや、ナイロンタオルで強く体をこすって洗うことは、避ける必要があります。
保湿剤には、尿素製剤、ヘパリン類似物質、油脂性軟膏(ワセリンなど)がありますが、かえって皮膚を刺激してしまう場合があるため注意が必要です。炎症が強い場合は、ステロイド剤の外用薬を使用することもあります。内服薬では、抗ヒスタミン薬のほか、オピオイドκ受容体作動薬がPD患者さんの搔痒症に適応があります。痒みが著しい場合は主治医の先生に相談し、皮膚科で診てもらってもよいでしょう。
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黒部市民病院
腎センター所長 吉本 敬一 先生