なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2018年
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血液透析(HD)への移行時期は、検査値や自覚症状に変化が出てからでも大丈夫でしょうか?それとも、自覚症状が出てからでは遅いのでしょうか?
(72歳 男性 PD歴8年1ヵ月 HD併用10ヵ月)
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HDへの移行が望ましいとされるのは、PDでは十分な毒素の除去が困難になった場合、体液管理が困難になった場合、被囊性腹膜硬化症の発症リスクが高くなった場合です。毒素の除去に関しては、血液検査(電解質、尿素窒素、β2 ミクログロブリンなど)や症状(痒み、レストレスレッグス症候群など)で評価します。体液管理に関しては血圧、胸部X線(レントゲン)、浮腫などで評価します。また被囊性腹膜硬化症に関しては、定期的に腹膜平衡試験を行って評価します。腹膜の透過性が高い状態が続くと、発症リスクが高いといえます。以上のことを総合的に考えて、適切な時期にHDへ移行することが大切なのです。ライフスタイルが変化することから、移行に抵抗を感じる患者さんは多いのですが、移行時期が遅れるとさまざまな合併症を引き起こしてしまう可能性があります。主治医の先生とよく相談してください。
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独立行政法人 地域医療機能推進機構
四日市羽津医療センター透析センター長 三宅 真人 先生