なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2018年
-
胃潰瘍を患った後、水分をあまり摂らなくなったところ、それまで1,000cc以上あった排液が800ccぐらいになりました。排液が減ってきたのは水分を摂らなくなったことと関係があるのでしょうか?
(65歳 男性 PD歴7年6ヵ月)
-
腹膜透析(PD)では透析液の浸透圧が体液よりも高く設定されていて、浸透圧の差によって体液中の水が腹腔内に移動し除水が行われます。水分をあまり摂らなくなってから、以前よりも血液中の浸透圧が少し高い状態が続いているとすれば、排液量は少し減るかもしれません。しかし、排液量が減る原因としてはその他にも高血糖、カテーテルの位置異常、腹膜機能の変化などがあり、これらの鑑別が大切です。腹膜機能は腹膜平衡試験(PET)により評価します。PD歴を踏まえ、排液量が減って体重が増加傾向にある場合は、PDの処方といった条件の見直しや血液透析(HD)への移行について、検討が必要なこともあります。
- 回答者
-
静岡済生会総合病院
腎臓内科 部長 戸川 証 先生