なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2018年
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囊胞腎により腹膜透析(PD)をしていますが、3人の子どもがおり、医師からは子どもに同じ病気が見つかるかもしれないと言われています。どのような検査を何歳ぐらいで行えばよいのでしょうか?予防はできるのでしょうか?
(61歳 女性 PD歴6年)
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透析が必要となる囊胞腎の中で、最も多い常染色体優性多発性囊胞腎(ADPKD)として回答します。一般的にADPKD患者さんの子どもには、30歳を目安に腹部超音波検査を行うことが推奨されています。ADPKDでは、30歳を超えるとほとんどの場合に囊胞が見られ診断の精度が高くなり、またこのころから高血圧などで治療が必要になることが多いためです。しかし、お子様が健康診断で尿の異常や高血圧を指摘された場合、または腹部膨満、腹痛・背部痛などの症状があれば、早期発見・治療開始のためにも、10~20歳代でも検査を行うのが望ましいでしょう。この場合、検査で囊胞が確認できなくても、将来ADPKDに罹患しないとは断定できないので、30歳くらいで再検査を受けるようにしてください。ADPKDを予防することはできませんが、進行を遅らせる治療法はありますので、腎臓専門医にご相談ください。
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奈良県総合医療センター
腎臓内科 医長 森本 勝彦 先生