なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2017年
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フィブリンが多く排液が出にくいことが多いのですが、フィブリンはなぜ出るのでしょうか? 食事とは関係があるのでしょうか?
(79歳 女性 PD歴3年4ヵ月)
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フィブリンは血液中にあるたんぱく質の一種で、血液凝固に関与しています。PDカテーテル留置術後には一過性に認められることがありますが、ほとんどがそのうちに出なくなります。維持透析中にフィブリンが排液の中に出てくるのは、カテーテルが腹壁あるいは腹壁内の臓器を刺激することや、腹膜炎などが考えられますが、それ以外にも、風邪、胃腸炎などで体調を崩した際にも見られることがあります。食事とは関係がありません。排液の中のフィブリン量が多いとカテーテルを閉塞し、透析液の注排液ができなくなることがあります。既に排液が出にくいことが多いとのことですので、しばらくフィブリンの形成を阻止するヘパリンを透析液に混ぜて注液することも考慮すべきかと思います。主治医の先生によく相談してみてください。
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日本医科大学 多摩永山病院
腎臓内科 部長 金子 朋広 先生