なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2017年
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血液検査でナトリウム値がいつも正常値だったため、塩分の摂取量は問題ないと思っていましたが、血圧がいつも高いので調べてもらったところ、塩分を摂り過ぎていました。血液中のナトリウム値は、塩分の摂取量とは関係ないのでしょうか?
(74歳 女性 PD歴6年5ヵ月)
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人間の体には、体液の塩分濃度が常に一定範囲で保たれるように定常性を維持する仕組みが備わっており、それは腹膜透析(PD)をするようになっても保たれています。腎臓の働きを腹膜が代行してくれるためです。したがって、たくさん塩分を摂取したからといってすぐに体液のナトリウム値は上がりません。その代わり腹膜透析の液にナトリウムを多く排泄して、定常状態を保とうとします。塩分を摂り過ぎた場合、血液、体液の塩分が多くならないよう、腹膜や腎臓が塩分を体外に排泄します。ただ、その場合、塩分の出入りが激しくなるので血圧が上昇したり、検査値でナトリウム値が多少変動することもあり、血清では135~145mEq/Lの範囲内で上下することが知られています。
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市立釧路総合病院
泌尿器科 統括診療部長 森田 研 先生