なんでも相談室

腹膜透析の情報誌「スマイル」

腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。

記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。

2016年

1日3回のバッグ交換をしていますが、医師の指導のもと、旅行時などに日中の交換を1回休んだ時が数回ありました。すると、普段は1日-200mL程の除水量が、1回休んだ日の翌日には、+300mL程になり、1週間で元の-200mLに戻ります。これはどのような原理なのでしょうか?

(51歳 女性 PD歴7ヵ月)

1日3回のバッグ交換で済んでいるということは、PD開始後7ヵ月でまだしっかり尿量がある方と拝察します。だから主治医の先生は、旅行中のバッグ交換数の削減も可能と判断されたのでしょう。それ自体PDならではの素晴らしいお話です。さて、除水量とは、静水圧(腹膜毛細血管からお腹へ水がしみだす圧力)と、腹膜透析液の晶質浸透圧(透析液の高い糖濃度により、腹膜毛細血管からお腹へ水がしみだす圧力)の和で決まります。この2つの圧力総和をまず考えてみます。1回PDを休みますと、体液バランスは多くなり(つまり体重が増え)、静水圧が増します。川の氾濫の前に、堤防から水がまずしみだしてくるような圧力です。よって、除水量が増すと考えられます。通常の除水が多くないことに関しては、お腹のリンパ管吸収が多いのか、腹膜の透過性が高いのか、この点は医学的なことですので、主治医にご相談ください。ただし、入れた透析液量が回収できないマイナスバランスでも、日々の体重が一定であれば、問題ありません。一方、今後体重が増えていく場合、むしろ除水ができなくなっていくことがあります。今の体重を維持しましょう。

回答者
東邦大学医療センター大森病院 腎センター 教授 酒井 謙 先生

東邦大学医療センター大森病院

腎センター 教授
酒井 謙 先生

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