なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2016年
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APDをしている友人が、主治医の先生に「旅行に行く時、1日ぐらいならお休みしても大丈夫」と言われたそうです。本当に1日お休みすることができるのでしょうか。
(59歳 女性 PD歴4年3ヵ月)
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腹膜透析(PD)中は、ご自身の残された腎臓の機能(残腎機能)も重要な役割を果たしています。おそらくご友人は、まだ比較的残腎機能が多いのではないかと推察します。ご友人の主治医の先生の言葉を補足しますと、「1日くらいならお休みしても、【その間はご自身の残腎機能によってある程度の水や電解質、尿毒素の排泄が行えるので、】大丈夫」ということではないかと考えます。ご自身の腎臓だけで十分な毒素の排泄ができなくなったためにPDが必要となっているので、PDをやらない状態が何日も続けば、水や電解質、尿毒素が蓄積し、身体に不利益をもたらします。さらに旅行となれば、移動の疲労に伴って老廃物が多く産生されたり、塩分やたんぱく質の摂取量が多くなったりすることも予想されます。1日休止しても大丈夫かは、残腎機能によりますので、主治医の先生とご相談ください。休止が難しい場合でも、旅先に機械を運ぶのが難しいようであれば、いつものAPDではなく、ツインバッグを用いた方法に変更できないかなど、ご相談されるのもよろしいかと思います。
- 回答者
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信州大学医学部附属病院
腎臓内科 橋本 幸始 先生