なんでも相談室
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2016年
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腹膜炎になると、必ず熱がでるものなのでしょうか?
(56歳 男性 PD歴4年6ヵ月)
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腹膜炎を発症すると、多くの場合、排液混濁に引き続き発熱がみられます。しかし、高齢の方では、腹膜炎発症直後に発熱はみられないことがあります。虫垂炎、憩室炎、腸管穿孔などの消化管病変に引き続き発症する腹膜炎は症状も強く、排液混濁と同時に高度の発熱がみられる場合が多いようです。腹膜炎は、難治化すると腹膜透析の中止を余儀なくされることもありますので、手洗い、マスク着用など基本に忠実なバッグ交換手技の実践や、排液の性状、出口部、トンネル部の発赤の有無などを観察する習慣が重要です。何らかの感染兆候や汚染操作を行った可能性がある場合には、なるべく早く診察を受けてください。早期に診断され適切な治療を受ければ、たとえ腹膜炎を発症したとしても治癒が可能です。
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新潟大学地域医療教育センター
魚沼基幹病院腎・膠原病内科
特任教授 飯野 則昭 先生