透析 むくみについて
腹膜透析の情報誌「スマイル」
腹膜透析(PD)に関する基本的なこと、日常生活での疑問や不安、今さら聞きにくい質問など、専門の先生がみなさまからの質問にお答えします。
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
「なんでも相談室」では、はがきで寄せられた個々の相談についての回答を紹介しています。全ての患者さんに該当するものではありませんので、気になる症状がありましたら、主治医の先生にご相談ください。
2016年
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足のむくみがひどく、栄養士さんからは「塩分、塩分」といつも言われています。
自分なりに気を付けているつもりではいますが、一日中座っていると夕方にはむくんできます。朝はあまり気になりません。
塩分や水分を控える以外にむくみをおさえる方法はないのでしょうか?(65歳 男性 PD歴7年6ヵ月)
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むくみは単純に水です。血管から漏れ出た過剰水が重力で下方にさがるので夕方足がむくみます。人工的に過剰水を除去する血液透析と異なり、腹膜透析では生体膜を使って除去しようとするために、塩分が体内に過剰にあるとそれを薄めようとして体内に水が残り、十分除水できなくなります。むくみの治療はやはり塩分制限が第一です。ご自身の現実の塩分摂取量を正確に知ることは塩分制限の第一歩でしょう。尿がある程度(1日200mL以上)出ていれば、利尿薬を増やしてもらうのも効果があるかもしれません。栄養士さんや主治医の先生と相談してみて下さい。弾性ストッキングにも防止効果がありますが、塩分制限以外はどれも根本的な治療とは言えません。現状を正確に知って、医療スタッフの方々と具体的な対策をとれれば一番いいですね。
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HDへ移行する時には、具体的にどのようにPDをやめるのでしょうか?HDを始めるとその日からPDは行わないのですか?また、お腹のカテーテルはどうするのでしょう?
(68歳 男性 PD歴7年2ヵ月)
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HDを始めれば基本的にはその日からPDは行わなくて済みます。しかし、現行ではそのような劇的移行を避け、週1回か、まれに2回HDを行い、残りの日はPDを施行するというハイブリッド治療がよく行われています。お互いの療法の良いとこ取りの治療です。それでもPD開始後5~10年で完全に週3回のHDに移行される方々も少なくないでしょう。その際はお腹のカテーテルは抜去されます。局所麻酔下で比較的容易に抜去は可能です。しかし、PD終了後にも被嚢性腹膜硬化症の発症が報告されており、PDを終えた後も、腹膜の状態を把握したり洗浄したりするために、数ヵ月カテーテルを抜去しないで、そのままにしておいた方がいいという考えもあります。
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公立福生病院
腎臓内科 部長 中林 巌 先生







