クローズup PDホスピタル
腹膜透析の情報誌「スマイル」
神奈川県 医療法人社団 三成会 新百合ヶ丘総合病院
記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。
残存腎機能を守ることを第一にPDを積極的に推奨
腎炎やネフローゼに対する治療から腎代替療法まで広く診療に当たる同院の腎臓内科・透析内科。透析治療では、PDを積極的に推奨しています。「残存腎機能の保持を第一に考え、『PDファースト』を掲げて診療に当たっています。透析を長期間行う場合、PDで始めても将来的にHDへの移行や併用が必要となりますが、その前にできるだけPDで自分の腎臓を守るという考え方です」と話すのは腎臓内科・透析内科部長/血液浄化療法センター長の篠﨑倫哉先生。また、「透析を導入する際に、自分の臓器で自分を支えられなくなった状況を受け入れ難いと感じる方も多いですが、治療を自分で行う、『自分のやれることは自分でやる』ことは、自己の尊厳を保つことにおいて大きな意味があると思います」と、治療を自分で行うこともPDのメリットと話します。
透析治療が必要となった患者さんには、最善の治療選択に向けてチームで支援を行っています。外来で療法選択の支援を担当する血液浄化療法センター看護師の森淳子さんは「じっくり時間を取って患者さんの話を聞いています。チェックリストをつくり、聞き漏らしがないよう注力しています」と話します。また、A2東病棟看護師の太刀川美保さんは「治療の話をする際は、患者さんがどのような生活を望んでいるのかを聞いた上で、その方に合った治療をお勧めするようにしています」と話します。腎臓内科・透析内科医長の稲永亮平先生は「1時間ほどかけて話をしていますが、患者さんが納得して治療を始められるように、患者さんやご家族との“話し合い”を大事にしています。PDは、患者さんの生活に合わせた調節ができるので、よりこれまでの生活を続けやすい治療だと思います」と語ります。
多職種がチームとなって患者さんを支援
PD治療の経験が豊富な同院では、他施設から紹介されたPD関連合併症の治療を行うなど、地域のPD診療の支援も行っています。さらに、「昨年の秋から、訪問診療を行っている医師と連携し、高齢でADLが低下した患者さんや自宅で最期を迎えたいと考えるPD患者さんの支援にも着手し始めたところです」(篠﨑先生)。
同院のPD診療の中で特徴的といえるのが、医師の診療補助を行う医療事務作業補助者の存在。PD外来には必ず同席し、すべての患者さんのことを把握しています。血液浄化療法センター医療秘書の平樂安貴さんは「患者さんは毎日ご自身で治療を行い、頑張っています。診療以外の時間に、困ったことや嬉しかったことを私に話してくださることもあり、そこで得た情報を医師や看護師はもちろんのこと、他のPD患者さんにも共有する仲介役を務めています」と患者さんに寄り添います。平樂さんは、自動腹膜透析(APD)の治療結果の確認など、PD患者さんのデータ管理も担当し、多職種が集まるPD連絡会でも積極的に情報共有を行っています。
最後に、読者の皆さんへ「腎臓は透析期に入ってもさまざまな役割を担っている臓器で、尿の最後の一滴まで使い尽くさないともったいないです。PDで自分の腎臓を大事にし、元気で長生きしましょう」(篠㟢先生)、「PDを生活の一部と考え、自分のやりたいことを行い、豊かな生活を送りましょう。悩みがある方はご自身が信頼する医師に相談しながら、1歩ずつ人生を楽しんでもらいたいです」(稲永先生)、「PDを選んで幸せだと思っていただきたいですし、そう思えるようサポートしたいです」(太刀川さん)、「いつも患者さんから元気をもらっていて、『PDを選んでくれてありがとう』とお伝えしたいです。皆さんの頑張りに負けないよう、私たちも頑張ります」(森さん)、「PD患者さんの人生に関われることが幸せです。これからもよろしくお願いいたします」(平樂さん)とのメッセージをいただきました。
