クローズup PDホスピタル

腹膜透析の情報誌「スマイル」

大阪府 関西電力病院

記事の内容、執筆者の所属等は発行当時のままです。

関西電力病院

患者さん本位で考え適切な時期に適切な治療を提供

関西電力病院は1953年に関西電力健康保険組合直営病院として誕生し、主に職員の福利厚生を担ってきました。現在では「地域医療への貢献」を目標に掲げ、地域に開かれ、地域に貢献する急性期病院として地域医療を支えています。同院での透析導入数は年間約30人、現在25人の腹膜透析(PD)患者さんの治療・管理に当たっています。

写真:腎臓内科スタッフの皆さん。前列左から3人目が古宮先生

個々の患者さんの状態に合わせた指導で腎機能の悪化を防ぐ

同院における腎臓病治療の基本方針として、「透析にならないようにすることが大原則」と強調する腎臓内科部長の古宮俊幸先生。その実現のため、腎生検で腎臓の状態を的確に把握したり、1週間の教育入院に注力したりと、日々努力しています。教育入院では、腎機能の悪化を防いで患者さんが元気に生活できるよう、蓄尿、24時間血圧測定、心血管合併症などの検査を基に、個々の患者さんの状態に合わせた生活指導、食事療法、運動療法、服薬指導を提供しています。「当院は糖尿病治療に強いという特性もあり、栄養指導が充実しています。腎臓内科でも保存期だけでなくPD外来にも管理栄養士が待機し、必要に応じてその場ですぐに指導が行える体制を取っています。また、リハビリ病床を持つことから理学療法士も多く、運動療法の指導に当たっています」と古宮先生が話すように、多職種のチームが積極的に腎臓病治療に関わっています。

医療者側の都合で患者さんが困ることがないように

腎機能が悪化し腎代替療法が必要な患者さんには、その人に最も合う治療を提供したいと考える古宮先生。腎代替療法の選択に当たっては、教育入院での説明に加え、外来で看護師が血液透析(HD)、PD、移植の全ての治療法を説明し、PDに関しては実際に機械に触れる機会を設けています。また、十分な説明を行うとともに、医療者側からその時点で患者さんに最も適していると思われる治療の提案を行い、患者さんの治療選択をサポートしています。

古宮先生は「スタッフには自分が患者だったら、自分の親が患者だったらと考えて、自分では選ばないような治療を患者さんに勧めることがないようにと指導しています。患者さん本位で考え、自分ができないことは人にも押し付けない。これが私の医療のコンセプトです」と語ります。

同院の腎臓内科では、シャント形成術などのHD関連手術、カテーテル留置術や出口部変更術などのPD関連手術、移植の術前術後の管理まで、移植手術以外の全ての手術や管理を手がけています。「腎臓内科で手術ができるので、透析導入時に手術の日程調整に時間を取られることなく、適切な時期に適切な治療を提供することが可能です。また、状況に応じて、治療法の切り替えも適切なタイミングで行えますし、PDカテーテル関連合併症で手術が必要になっても迅速な対応が可能です。医療者側の都合で患者さんが困ることがないようにと常に考え、こうした体制を整えました」(古宮先生)。

保存期治療の技術をPD治療にも生かす

透析を始める患者さんのうち、約4割がPDを選択しているという同院。APDで夜間にできる簡便さや、残存腎機能の保持、シャントによる心臓への負荷の少なさなどをPDのメリットとして挙げる古宮先生は、「PD、HD、どちらにもメリット、デメリットはありますが、PDは腎代替療法の中で最初に行う治療として適している場合が多いと考えています。特に、高齢者や小食な方に向いていると思います。また、PDで経験する食事管理などの自己管理は、HDに移行しても体調維持に役立ちます。そして、われわれ腎臓内科医は保存期治療で培った経験と技術をPDに生かし、PDを始めてもできるだけ残存腎機能を維持し、良い状態で治療を継続できるよう診療に当たっています」と話します。

最近同院では、紹介を受けた患者さんにPDを導入し、その後の管理は在宅医と連携して行う試みを始めました。古宮先生は「ご家族のサポートが得られる患者さんであれば、往診してくれる医師に管理してもらうことで通院の負担が減りますし、希望があれば自宅で最期を迎えることもできます」と取り組みの意義を語ります。

最後に、古宮先生から「患者さんやご家族には負担を感じることなくPD治療を行っていただきたいです。治療のために生きるのではなく、楽しみを見つけて、前向きに元気に生きてほしいですね。医療者側は何か起これば迅速に対応し、できる限りのサポートをしていきます」とのメッセージをいただきました。

関西電力病院

関西電力病院

〒553-0003
大阪市福島区福島2-1-7
電話 06-6458-5821(代表)

クローズup PDホスピタルへ

快適な腹膜透析ライフのための情報誌「スマイル」

巻頭特集

巻頭特集

腹膜透析(PD)患者さんに役立つ特集記事です。

患者の達人

患者の達人

腹膜透析(PD)と共に自分らしく暮らす患者さんをご紹介します。

患者さんからのメッセージ

患者さんからのメッセージ

腹膜透析(PD)で自分らしく過ごす皆さんからのビデオメッセージ。

健康簡単クッキング

健康簡単クッキング

季節の食材を使った簡単でおいしい腹膜透析(PD)患者さん向けの料理をご紹介します。

なんでも相談室

なんでも相談室

専門の先生がさまざまな悩みにお答えする相談コーナーです。

クローズup PDホスピタル

クローズup PDホスピタル

腎臓病治療や腹膜透析(PD)に取り組む病院をご紹介してます。

自由広場

自由広場

皆様からのお便りや耳より情報などを掲載するコーナーです。

バックナンバー

バックナンバー

腹膜透析の情報誌「スマイル」のバックナンバーをご覧いただけます。